誰と戦って勝利したら一番興奮する?
格闘家大山峻護(しゅんご)さんの予祝例も痛快です。
大山さんは、今年の目標を考えているときに、
コーチからこう質問されたそう。
「今年一番興奮する目標は何か?」
「誰と戦って勝利したら一番興奮する?」
ただの目標ではなく、
興奮する目標というのポイントです。
2005年当時、
世界ナンバーワンのチャンピオンは
ピーター・アーツでした。
そのピーター・アーツと、
12月31日のゴールデンタイムに放送される
「K-1プレミアムダイナマイト」で対戦し、
日本全国の人が見守るなか、
1分以内の秒殺で勝てたら一番興奮するという答えが出ました。
喜び方を決める
そこで大山さんは、
対ピーター・アーツ戦を想定して練習を始めたのです。
最初にやったことは、
ピーター・アーツに勝ったときの、
喜び方を決めるところからでした。
トロフィーのどこにチューをするのかまで詳細に決めたのです(笑)。
そして練習を始める前に、
毎回、その喜び方をイメージのなかで再現し、
喜びをかみしめながら、
練習をするようにしたのです。
しかし、残念ながら、
しかし、残念ながら、
大山さんは体も小さく、格下で、
1カ月前に発表されるピーター・アーツの対戦相手に
名前があがることはありませんでした。
でも、それでも大山さんはあきらめなかった。
なんと、対戦相手が正式に決まったにもかかわらず、
大山さんは、ピーター・アーツ対策の
一人沖縄強化合宿まで決行したのです。
自分は戦えないと正式に決まってるのに!(笑)
練習中にうれしくて泣き出したことも
「大山は、まだピーター・アーツと闘うつもりで練習している」と
皆に大笑いされたそうです。
それでも合宿を決行。
一番苦しいランニングや、
砂浜ダッシュでも、
ピーター・アーツに勝ったときの喜びで
興奮しながら練習していたのです。
イメージしすぎて、
練習中にうれしくて泣き出したこともあったそうです(笑)。
さて、2005年12月31日の
K-1プレミアムダイナマイト、
どうなったのか?
なんと、なんと、なんと、
なんと、なんと、なんと、
試合の9日前に突然ピーター・アーツの対戦相手が、
ケガをしたんです。
開催側も困りはてました。
9日前では、
さすがに試合に出れる準備をしている選手なんて
いるわけがないんです。
いるわけがない・・・。
いや、1人だけいました!
大山峻護選手!
開催側から、
大山さんに電話がかかってきました。
「大山、9日前だがやれるか?」
「はい。準備万端です!」
準備万端の大山峻護選手、
1R開始わずか30秒、
ヒールホールドで
王者ピーター・アーツを秒殺しました。
メイク・ミラクル!
喜びながらやっていると、奇跡は起きるのです。
これぞ予祝の起こすメイク・ドラマです。
ひすいこたろう・大嶋啓介『前祝いの法則』フォレスト出版 (2018/6/8)